障害は才能に変えられる

当社の社長である著者は、49歳のときに発達障害であるADHD（注意欠如・多動性障害）だと診断されました。幼いころから周囲の人とうまく付き合うことができず、発達障害ゆえの苦しみのなかで孤立した日々を送ってきました。大人になっても周囲とのズレは消えることなくどんどんと大きくなり、次第に「自分には生きている価値がない――」とまで感じるようになってしまいます。

しかし、あるとき父の一言がきっかけで、人と違うということは決して悪いことや劣っていることではないということに気づきます。他人にどう見られるかを考えるのではなく、自分のもつ個性を活かして人の役にたつことをすればいい——そんな風に前向きに考えられるようになりました。

今では、障害福祉事業者向け施設運営管理システムを販売するIT会社、放課後デイサービス運営を行う福祉事業の会社、障害をもつ人たちの働く場をつくる6次産業の会社の3社を経営しています。

「気が散りやすい」「すぐ空想にふける」といったADHD特有の障害を、「周囲の変化をいち早くキャッチする」「斬新なアイデアが出せる」といった”才能”に変え、好きだった仕事に取り組んだことで、評価されるようになり、結果的に社長になることができたのです。

たとえ、自分では「マイナス」でしかないと感じる部分も、捉えようによっては「才能」に変化させることができます。それによって周りから理解されない特性をむしろ「活かして」世の中と繋がれるようになるのです。

私たちは、「誰ひとり取り残さない居場所を創る」というビジョンのもとに事業を行っています。「自分になんて価値がない」と悩み、絶望しながらつらい毎日を生きている方々の未来を照らす助けになりたいという思いから、このキャンペーンを実施することといたしました。

本書をきっかけに、ひとりでも多くの人が「自分自身にはいろんな可能性がある」ということに気づき、「自分の居場所」を見つけることを願ってやみません。